わかれあげまん
少し縮こませた背中に更に、しみじみとした所長の声。
「冗談抜きにちょっと妬けるなあ。」
「・・・は…い?」
聞きなれない、いや、聞き捨てならない台詞だったような気がして、柚は盛大にぎょっとしながら所長を仰ぎ見たけれど。
「イヤ、なんでもない。」
と大人の男よろしくクールに受け流され、柚も再び視線を前方へと戻し、“まさかね。”と気のせいに臥してしまった。
それから一時間弱は、他愛のない話をしながらのドライブが続き。
そして「この辺りでいいです」と柚が指定したのは、大学行きのバスが発車するターミナルの一角だった。
「こんな場所でいいの?僕まだ時間あるし、君の下宿まで行ったっていいんだよ?」
「い、いえ、大丈夫です。まだ終バスまで何本かありますし…コンビニで買い物もしたいんで」
苦笑し柚は手を振りかざして言いながら、高戸所長のBMWから降り立った。