わかれあげまん
だめだ。
電波が悪くて切れちゃったのかも。
諦めかけたその時だった。
『・・・ああ。』
「!!」
微かに届いたその掠れ声に、大袈裟ではなく携帯を握った柚の身体が跳ね上がった。
「ふっ…藤宮く…ん!?」
『・・・・・・ん。』
さっきよりも更に、消え入りそうな小声だった。
柚はたちどころに気付いた。
たった一言返されただけのその低い返事が、涙に咽ぶ声であることに。
「……!!!」
ギュッと寄せた眉間が熱くなった。
「どうしたの!?…実家でなんか、あったの!?」
『………フ』
電話の向こうで哉汰は少し笑ったようだった。
『なんでもないよ。』
やっと言葉らしい言葉が返って来たのに、柚は激しく狼狽し目を泳がせた。
今にも消えてなくなってしまいそうに弱々しい声。
「なんでもなくない!…ね、何で泣いてんの!?」
『…て、ねえよ。』
嘲笑を含ませまた答える哉汰の声の向こう側に微かに聞こえた鈴の音の様な優しい響きに柚はハッと視線をあげた。