わかれあげまん
「なんだ。あんた年上だったのか」
「…え?」
どうやら彼はやはり星崎柚という名を知ってはいたらしいが、返す反応が柚の予想とはかなり違っていた。
「子供っぽい顔してるからてっきりタメだと思った」
そう続けた台詞は、少し笑みを含んだような声だった。
「えっ」
年上だったのか、って……
いろいろと予想外な状況に思わず腕を伸ばし、勢いよくカーテンを開けると
「じゃ、あの、一回生ですか!?」
と柚は目を丸くしてたずねた。
しかもまた敬語である。
「ああ」
日誌を記入しながらそう返す彼も、やっぱりまだちょっとエラそうだった。