わかれあげまん
今すぐ振り解かなくてはならないはずなのに。
「…ふ…ぁ」
夢中で合わされる唇と唇の間に、時折生まれる僅かな隙から零れるのは。
切ないほどに甘く色めいた柚の溜息。
両手が思わず彼のシャツの胸元をぎゅっと掴んだ。
涙で滲む視界をうごく哉汰のサラサラの髪が美しいと思った。
歯列を割って入った舌が、悩ましげに絡まる。
また螺旋を描きながら柚の体の芯を締め付けてくる、とてつもない悦楽。
シーツが滑る、衣擦れの音がして。
自分の頭を引き寄せたまま、哉汰が上に。
握っていた掌ももう、ずるりと力を失って。
追い討ちだというようにその下をくぐって哉汰の掌が、柚の服の中に荒々しくもぐりこんできた。
と同時に、激しく交わされていたキスが解かれた。
少しだけ顔から距離を取り、じっと自分を見おろす哉汰は。
荒々しい呼吸を繰り返しながら、上気した赤い顔をしているのに。