わかれあげまん



吸い込まれそうに綺麗な瞳だ、と柚は思った。


ゲロゲロで薄汚れてやさぐれてる今の自分が、こんな綺麗な人と見つめちゃいけないような気さえしてきて、


恥ずかしくなって柚はパッと目をベッドの上にそらせた。


「……」


と、彼はやにわに立ち上がり、何も言わずからりと引き戸を開け立ち去った。



あ。

目、反らしたりしたから気悪くしたかな。



ボーゼンと、彼の去った引き戸を見つめていると。


またまた柚の予想外にも、数十秒後に再びカラカラと引き戸が開き、美形くんが戻ってきたので、柚は飛び上がるほど驚いた。


「へ」


彼はつかつかと柚のベッドへ歩み寄り、手にしたペットボトルで柚の頭を軽くポカリとやった。


「飲んどけ。酔っ払い」


慌てて頭上のペットボトルを受け取り確認すると、どうやら外の自販機で買ったらしき、スポーツ飲料だった。


「じゃな」


踵を返して再び立ち去ろうとする背中へ向け、柚は、慌てて叫んだ。
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