わかれあげまん
両手で項垂れた顔を覆い。
「藤宮くんのこと、…好きに…なっちゃったぁ」
そう告げた直後、うわあんと声を上げ子供のように泣き出した柚を、さしもの美也子も数秒、ぽかんと口を開けたまま見守ることしかできなかった。
そしてそのあと。
「・・・いや、あの、…」
なんと言ったらいいのやら。
美也子は戸惑いながらも必死に言葉を探した。
「あんたにとってそれは、絶対いい事なんだよ?うん。…でも、…」
数日前に啓祐から聞いたルチアの話を思い出し、美也子は口ごもってしまった。
いやな予感が的中しちゃったのかしら。
このタイミングでルチアがそのイタリア人のフットサル野郎を振ったってことは、やっぱり…偶然じゃないってことなのかも。
「ねえ。…真面目に聞くんだけど、答えてくれる?柚。」
泣きはらした赤い目でひたと自分を見て来た柚に、ためらいなく美也子はその質問をぶつけた。
「…藤宮くんと、セックスしたの?」
…!
驚きにくるりと目を見開いたきり、顔を背けた柚をどう解釈したらいいのかわからず、美也子は苛立ってまた言った。
「ねえ、どうなの?」