わかれあげまん




* * *



「寝不足?」


「そうそう。ただの寝不足。昨日深夜まで制作室いたからさ、…」


課題画溜め込んじゃってて…と掠れた声で答えながら、柚は美也子に自販機で買ってもらったミルクティーを一口すすった。


「…そういう取り繕い方。あたしには通用しないっていつも言ってるでしょう。」


正面から頑固おやじのように腕組みをしてじいっと美也子に睨まれ、柚は身を竦めた。


「う。」


「また何かあったんでしょ」


「……」


目を背け悔しそうに爪を噛みながら、


「くっそ~、渡良瀬のやつ、どこまで柚を苦しめたら気が済む…」


と美也子がつぶやきかけたのを。


「違うの。…美也子」


怯えるような小声で、制する柚。


「え?」


「どうしよう、美也子…」


なに…?いぶかしげに眼を細め再び視線を戻した時、ぼろぼろと大粒の涙をこぼしだす柚に息を飲んだ。



「好きに、なっちゃった…」


「…はい?」


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