わかれあげまん



「ううん~、カナタも一緒に来るのぉ!」



甘え声で首を振って、ルチアはくちびるを尖らせた。



「ルゥ。今夜は駄目だ。俺明日、朝からバイトの面接」


「やだぁ。だってカナタ、ずっとお泊まりきてない。…ずっと、してないもん」


色っぽく顰めた顔を顎の下に擦り付けて言ってくるルチアに、哉汰は深く短い溜息をついた。


「泊りは無理だって。俺今日、ゴム持ってねぇし」


「ダイジョブ…ルゥ、ピル飲んでるから」


悪戯っぽく笑み含み耳元にそっと囁いてから、


「行こ!カナタぁ」


とルチアはスキップしながら駐車場へと向かい出した。



眉間に縦皺を刻み、哉汰は彼女のウキウキ弾む後ろ姿を見やると再び今度は少し長めの溜息を落とした。


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