わかれあげまん
遊歩道に並ぶLED街灯の下を駐車場に向かっていた時。
「カナタぁ~」
背後から明るい呼び声がし振り返ると。
長い黒髪を揺らしながら、ティーシャツにジーパン姿のスレンダー美女がまっしぐらに哉汰の方へ駆け寄ってくる。
「…ルゥ」
哉汰が眉をしかめそう投げたのと同時、息を切らした彼女が彼の首元に抱きついた。
「まだ制作してたのか?」
そう尋ねられパッと上げた彼女の顔は見事なヨーロッパ系美人仕様だった。
「ううん~、カナタのこと、待ってただけ。部屋の電気消えたから、走ってきたあ」
そう甘ったるく辿々しい日本語で言うと、ルチアは無遠慮に哉汰の頬に唇を押し付けた。
キスされたにもかかわらず哉汰は妙に冷静に、
「そっか……じゃ送ってくよ」
と苦笑し言った。