わかれあげまん
ルチアのマンション前の歩道に寄せた車に乗り込むと、哉汰はハンドルを抱え込むようにして項垂れた。
そして。
「あ~やっべ……腰イテー」
情けない声でそう独り言を呟く。
──にしてもまさかルゥのやつ、こんな短時間にマジで三度もねだって来るとは。
もちろん彼女に罪はない。
長い間俺にほったらかされて積もり積もったフラストレーションが一気に噴き出したんだろう。
とはいえ、昼間のあいつらの下世話を通り越した妄想が事実になっちまった胸くその悪さに反吐がでそうだ。
どうにか気合を入れ直すように眉間に力を込め、前を見据えると、哉汰はキーを回し車を発進させた。