わかれあげまん
空いた深夜の国道を車で走りながら、哉汰は考えていた。
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何故なんだ。
あの夏、ルゥと出会った頃は、
彼女が一心に自分に向ける情熱的な愛情も、言葉も、ぬくもりも、そして、
身体に残るこの気だるさも。
確かな幸福だと感じていた筈だった。
それが今となっては。
身体を重ねる事はさることながら、
一緒に居る意味すら分からなくなって来てる。
彼女は美人だし性格も愛らしくて、
身体の相性だってそう悪いわけじゃない。
ただ、何故なのか、何か満たされないことに。
薄気味悪い漠然としたやるせなさが、
フラクタルを成して増殖し、膨張しだしてる。
日を追うごとにそれは加速し、苛まれる自分に焦燥してるのがわかるんだ。