わかれあげまん



ここはとある美術研究所。


柚はここで、アルバイトとして子供の絵画教室の講師をしている。


ざっと30人ほどの幼児から小学校までの子供たちをみているのだが、お絵かき教室というよりはむしろ保育所のような状態だった。


「ほら、アキラくん!席に戻って続き続き!…もものちゃん!隣の子の画用紙にラクガキしないの~!…琴ちゃんはどうして泣いてるのかなあ?」


「ゆーやみてたよ?ゆずせんせ~。あのね?琴ちゃんのクレヨンが、ぽきって折れちゃったのぉ~。だから琴ちゃん、泣いてんのお~。」


青ッパナをすすりながら答えた裕也君の隣でギャンギャン泣いている琴子ちゃんを、柚はやさしく抱きあげ。


「あ~ん、琴ちゃん泣かないで。クレヨンはね、折れるものなんだよ?折れても絵は描けるから、大丈夫だよぉ~~」


びずびず泣いてる琴ちゃんをあやしながら、とうとう柚は、どはっと溜息をついた。


どやどやと部屋中を動き回る子供たちの渦の真ん中に佇んで、


白目に近い遠い目を天井へ向け。




だ、……


誰か。……


あたしに助手プリーズ!

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