わかれあげまん
研究所沿いの細道を抜けると、左右にのびる広い国道に出る。
えっと。
停車中の車、車……
すると交差点を数十メートル越えた歩道に片側の車輪を跨がせた、小さな銀色のバンがテイルランプを点滅させているのが見えた。
あれかな?柚は首を傾げてから、小走りにそのバンへと駆け寄っていった。
数メートルまで迫った時、左側のサイドミラー越しに、運転席に座っている青年の顔が見えて、柚は思わず足を止めた。
えっ……
とあからさまに眉を顰めたのは。
ミラー越しにバチリと視線を合わせたその青年が、昨日出会ったあの“藤宮哉汰”だと分かったから。