わかれあげまん
「引き受けてくれればの話だけどね?二十歳そこそこの青年だからどーだかなー……」
「えっ?青年?」
なんだあ、男の人かあ。
んじゃ、子供の扱いとかちょっと下手そうかも……
柚はいくらか落胆色を浮かべた。
「うん。ああ、そうそう、それも星崎ちゃんの大学の子だよ?」
「マジですか?うわー、誰だろ」
と、その時ちょうど高戸のポケットの携帯が着信を知らせた。
ごそごそとポケットから携帯を出し見やり、
「お!きたきた!その新人君からだよ。もう着いたのかな?」
つぶやきながら、高戸はボタンを押し応答した。
「はいどうも、ご苦労様。ああ、今国道前?……ごめんごめん、うちのパーキング奥まってるから分かりづらいんだよね。今一人案内に出すから少しそこで待っててくれますか?」
そこまで言うと、高戸は携帯から耳を離し、穏やかな声で柚に言った。
「星崎ちゃん、悪いんだけど国道出てうちの駐車場まで道案内してくれる?彼、車で来たらしいんだ。……僕、先に面接の準備したいから。」
「あ、はい、いいですよ?」
柚はニコリと笑い快諾すると、急いで外へと飛び出した。