わかれあげまん
「で、とにかくこれ……藤宮君のシャツ借りたやつ、返したいんだけど。」
美也子はしげしげと、柚の顔と紙袋の中の黒チェックのネルシャツを見比べながら、
「シャツを借りた?……」
とまた詮索めいた目つきを突きつけ、柚はヒイと縮み上がった。
そのまま眇めた目で美也子を見上げ、
「だからあ、変なそういうんじゃないってばあ!」
「別にあたし何も咎めてないわよ?で、何?」
意地悪くニヤリとして、柚の言葉を待つ美也子に、ぐっと固唾を飲んでから、柚は薄く笑みを纏わせ言った。
「あのさ……、悪いんだけど美也子、これ代わりに藤宮くんに返してきてくれない?」
「はあ?何それ」
声を尖らせ即答する美也子。