わかれあげまん
カノジョ



* * *


「なるほど。…で、藤宮くんに下宿まで送ってもらって今、家の中ってわけね?」


学食のいつもの席で昼食のサンドウィッチを片手に、美也子は耳に当てた携帯に呟いた。


「…やっぱあんたにVD棟に行かせたあたしがバカだったわ。…ったく渡良瀬のやつ!どこまで浅ましい男なんだろ!」



竹を割ったような性格の美也子は、最早渡良瀬に対し『先輩』という敬称を
つける気は毛頭ないらしく、憎々しげにサンドウィッチをかじりながら一人目を座らせた。



「ん、ごめんね~?そんなわけで今日は行きがかり上、午後ゼミはあたし、サボるから。」


電話越しに聞こえる柚のほんわりした声に違和感を覚えた美也子は鋭く尋ねた。


「なによ。嫌な目に遭った割には緊張感ない声…」


『えっ?…あ、ああ。』





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