わかれあげまん
下宿部屋のベッドの上でごろりと腹這いになりながら話していた柚は、慌てて身を起こすと正座して言った。
「…うん。…ってか、渡良瀬先輩のことはいやだったけど…さ。」
自分の前髪をささっと払うことで気を落ち着かせながら、柚は携帯を持って居ない方の手で火照ってくる頬を抑えつつ、ポツリと告白した。
「ちょっと…いい事があったっていうか。…」
「まさか柚。送ってくれた藤宮くん引っ張り込んで、送りオオカミにさせたんじゃないでしょうね。」
恐いほど声を低くして言ってくる美也子に、柚は飛び上がらん勢いで答えた。
「ち、ちちちがうってば!」
大体送りオオカミに“させた”ってなによ、“させた”って!!
内心思いつつ、柚は憤慨でもっと頬を火照らせた。
「冗談よ。…」
バカじゃないの?的にトーンダウンして呟く美也子。
居心地悪げに身体をぶるっとさせてから、柚はおずおずと答えた。
「あのね?…藤宮くんが誓ってくれたんだ。…あたしとは、今後絶対そうならないって。…」
「は?」