わかれあげまん
携帯を握ったまま美也子はがっくりこうべを垂れ、深く溜息を落とした。
「…つまりあんた、それって思いっきしフられてんじゃんよ。」
「うん、そーなんだけどさ。…なんてーか藤宮くんって、今まであたしの前に現れた男の子たちとカナリ違うから、…」
柚は改まったようにまたベッドの上で膝を抱え、しみじみ言った。
「新鮮さに、感動しちゃった?みたいな…」
はっ、と飽きれたように息を吐き、美也子は言った。
「あんたって子は!ホントバカ!寿司ネタじゃあるまいし!女として見てくれないってのに、なんで感動なのよ!?」
「だってさあ〜。」
そうぶちぶち言いつつ電話向こうで下唇を突き出し眉を曲げる柚。
柚の言う運命とやらがそんな風に感じさせてるんだとしたら、…何て哀れなんだろうか。
美也子はやるせなさに泣きそうにすらなる。
が。
ここで哀れんでるだけじゃ、柚のためにはならないわよね、と、キリと唇を噛んでから。