わかれあげまん

「え、…あ!」




そーだ!


あたし先週所長に、児童画教室の助手が欲しいって頼んだんだ!


ヤケド事件のトラブルですっかり忘れちゃってたけど、藤宮くん、引き受けてくれたんだ…



「あ、あ、そっか…ありがと、よろしくお願いします」


思い巡らせてから柚は慌ててそう言い、ぺこりと頭を下げた。


「どーいたしまして。」


柚はおずおず視線を持ち上げ、哉汰の飄々とした顏に合わせた。


「で、でも、だいじょぶ?30人近い悪ガキ相手なんだけど…」


「まあ見てなよ。…」


そう言って柚を見る哉汰の瞳は何処か悪戯めいた愛らしい耀きを含み、柚は一瞬どきりとした。


「っというかあんたのその左手のヤケドはどうなの?」


「へ?」


つ、と哉汰の涼やかな視線が左手に注がれ、何故か必要もないのに柚は包帯を巻いた左手をサッと背後に引っ込めた。



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