わかれあげまん
「ちゃんと使えんの?」
哉汰が柚に視線を戻してから疑わしげに首をかしげた。
「あ;」
…そ、そーだ!
あたしまだこの左手、まともに使えないんだった…
と柚はまたさっきと同様に思い巡らし、愕然と哉汰を見返すと。
ぷっと面白そうに吹き出し、
「全く。あんたの方が大丈夫?って感じなんですけど。」
と呆れたように笑み含んだ。
「…」
「ま、いいさ。今日は文字通りあんたの片腕になってやるから」
と余裕綽々に答え、哉汰はスタッフルームを悠然と出ようとした。
ナ、何かちょっとむかつく…
よーし、と柚は口をへの字に結ぶと。
「いいじゃん。お手並み拝見してあげよーじゃん?」
と哉汰のスマートな背中に投げた。