わかれあげまん
しかし。
わずか数十分後、柚のこの腹黒い(!?)期待はものの見事に裏切られる事になった。
哉汰と二人で画材を抱え二階の子供絵画教室へ向かおうとして、肝心の画用紙を素材庫から持って出るのを忘れたことに気付いた柚は、子供たちにはその日初お目見えの哉汰に、先に教室に入っておいてと無茶ぶりをしてから階下へとそれを取りに行った。
画用紙束を脇に抱え再び子供教室に入った時。
目の前の光景に柚は目を疑った。
わらわらと群がっている子供たちの中心にぬっと立っている長身の哉汰。
その表情といったら。
みたこともない、まるで無防備な満面の笑みだった。