わかれあげまん
キャーキャーと寄ってたかってその長い腕にぶら下がる子供たち。
「かなたせんせ~!抱っこ!抱っこしてー」
そう甘えた声で言いながらエプロンに顔をこすりつけてるのは…
ま、まさか。
お絵かき教室始まって以来の超人見知り・琴子ちゃん…!?
衝撃すぎるその事実に柚は開いた口が塞がらない。
「オッケー!んじゃ、今日のお絵描きが終わったら順番に“飛行機ぶんぶん”したるから、みんな!ほれ、お椅子に座んな!」
「わーい!やった~!」
蜘蛛の子を散らすようにわらわらと席に着く子供たち。
真ん中の哉汰がようやくこっちに気づき、
「…何か文句でも?」
といきなり声をワントーン落として柚に訊いてくるまで、
柚はずっと口をポカンとしたままだった。