海の記憶に残る恋
辺りはもう暗かったが、まだ海辺なので雰囲気的にはまったく怖くなかった。




しかし、やがて峠にたどり着くと雰囲気は一変した。




「なんか夜中にうっそうとした暗い茂みの中に入っていくのは気持ち悪いね」




シンジはそう言ったが、内心では二日酔いの気持ち悪さのほうが上だな、と思っていた。




峠の中を歩いていくと、まゆはだんだん心細くなってきたようだ。




シンジの腕をつかみはじめた。




シンジはふいに腕をつかまれて、なんだか嬉しかった。
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