ライフ・フロム・ゼロ
近くにあったフランチャイズの
コーヒーショップに入り、
アイスコーヒーだけを注文して、
一人窓際の席に座った。
コーヒーにも手をつけられないまま、
窓の外に降り注ぐ雨と暮れ始めた大通りを見つめていた。
考えなくてはいけないことや、
湧き上がるべき感情も本当はあるのだろうけど
とにかく今はショックが大きい。
この目で当選番号を確認してはいても、
やっぱりこんなこと起こるはずがないと
どこかで思っていたのだ。
この間の、ナカとの会話を思い出す。
3億あったら、という話だった。あの時は。
6億って、その倍だ。
鞄を少し開けて、くじの入っている
書類ケースを見つめた。