ライフ・フロム・ゼロ

売り子さんは少し眉を下げて言った。

「そうですね、例えばどこからか
 話が漏れて知らない団体から
 寄付のお願いが殺到したり、
 親戚を名乗る人が現れたり、
 借金の申し出を頻繁に受ける
 ようになってしまったり…
 要するに、
 たかられる可能性がありますので」
 

「…たかられる?」


「ええ、やはりそれだけ大きなお金に
 かかわることですので、そういう
 ことが起こらないとも言い切れません。
 もちろんお客様の自由ですが…
 すみません、差し出がましいようで」

 
「いえ、そういうこと何も考えてなかったので…
 アドバイス、有り難いです」

 
「いえいえ、それと、換金されるまでは
 くじの保管などについても注意を払われて下さいね」


「はい、ありがとうございます」


「それではどうぞお気をつけて。
 この度は本当におめでとうございました」
 

「…はい、いろいろとありがとうございました」


売り子さんに一礼して、
ふらふらと売り場を離れる。
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