ライフ・フロム・ゼロ


高校3年生になり、進路を決める際、
教師が薦めるままに大学受験の勉強をした。

結果、第一志望だった国立大には落ちたけど、
東京の、そこそこのレベルの私立大学に合格することができた。

国語の成績が他の教科より
少しだけ秀でていたし、
本を読むことも好きだったから、
レベルが高いところで本格的に
文学を学べることに、わくわくしていた。

それに、この片田舎から
大都会の東京に行けるのだ。
18になったばかりの私の胸は、
夢と希望に満ちていた。


親元を離れなければならないことは不安だったが、
同時に少し安心したことも覚えている。
突発的に始まる父と母の喧嘩
に怯えることもなくなるのだから。


だけど、人生とはうまくいかないものだ。

家賃3万5千円の1k、

これまた平均的な大学の側の
学生アパートで学生生活を
スタートさせようとした矢先、

事件が起こった。
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