キミがいた夏~最後の約束~
橘先輩は私を抱えてテイクオフへ続く道を歩いていた…
「…ヒック……ヒック……」
私はそんな橘先輩の胸を借りて泣いていた
お父さんのあんな姿を始めてみた
お母さんが死んだときより…
もっともっと小さく見えた背中…
私は涙を拭って顔を少しあげる
そこには綺麗な綺麗な夕焼けが浮かんでいるのが見えて
そして私と橘先輩を優しく照らす
橘先輩の肩越しから後ろを見ると、そこには長い長い影ができていた
『ゆ~や~けぇこやけぇ~で~日が~くれてぇ~』
『お?美鈴上手だな』
『お父さんも歌って?』
『そうか?照れるな』
『あははは』
私は戻らない、幼い日のことを思い出していた
もう戻らないのだ
二度と…戻れないのだ
そう思うとまた一筋涙がこぼれる…
私は橘先輩に抱きついて声をあげて泣いていた
『お父さん!』
『お父さん、だーいすき』