キミがいた夏~最後の約束~




ああ…この笑顔で何もかも許されてきたのね…


トビーさんと何やら話している橘先輩を横目で見ていると


橘先輩がこちらも見ないで、自分の隣の席をチョイチョイと指差している


ああ私、なんで付いて来てしまったんだろう…


トボトボと歩いて行って、とりあえずは座る


ここまでノコノコついて来てしまった自分に大きなため息をひとつついた



「うわ!俺、女に隣でため息つかれたの初めて!」



あーそうですか、いい人生ですこと




その言葉に反応しない私を気にした様子もなく、尚もトビーさんと私が聞いてもわからないサーフィン談義で盛り上がっているよう


なんたるマイペース…


チラリと目だけ動かすと橘先輩のまだ濡れた襟足が目に入る


男なのに、なんか妙に色っぽい…


こんな人…ホントにいるんだ…



更に女として小さなため息をついた





「名前は?」




女としての自信を失いかけて肩を落としている私に
そんな声が掛けられて橘先輩を見ると
トビーさんと話し終えたのか、体ごとこちらに向いて笑っている


相変わらず人懐っこい笑顔


「おいおい、まだそこなのかよ」


トビーさんの少し呆れた声が聞こえた








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