キミがいた夏~最後の約束~
予言



テイクオフはお盆が過ぎると少し落ち着きを取り戻していた


「今日、橘先輩退院だったよね?」


綾香がオーダーが終わった店内で話しかけてくる


「うんそうだね…」


「そうだねって…行くんでしょ?」


返答に困っている私を見て、綾香もひそかに眉を下げた


「何かあったの?」


「……」


何か…

そう聞かれても答えようがない

ただ私が一人で不安に思っているだけで

それだけで橘先輩を傷つけてしまった



「綾香の予言あたったよ」


「へ?予言?」


「うん…『看護師さんが押し掛けて』ってやつ…」


「あ~…」


もしかしてそれが原因?って顔をしながら綾香が私を見つめる


「今日は…っていうか当分行かないかも…」


「え!?当分って!?」


「うん…」


「そんなことしたら…」


そこまで言って綾香は言葉を止めた


予言って言葉が引っ掛かってるのかもしれない





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