空を見上げる皇帝ペンギン。
恐る恐る触ると、冷たくて怖い。
「…俺も皇帝ペンギンが良いな。」
つけたら気が済んだみたいで、運転席に戻る。
映画で見た、冷たい南極で皇帝ペンギン達が集まって卵を温めている映像が頭をよぎる。
「皇帝ペンギンは、駄目。オスだけが卵を温めるの。それでね、卵が孵ったらメスと交代して海まで行くから…、」
ネックレスのお礼も言わずに皇帝ペンギンの話をする自分に気づいて、口を噤む。
周防くんは微笑みながら私を見ている。
「海まで行くから?」
「…海まで行くから、寒い中体力を消耗して、死んじゃうペンギンも居るんだよ。」