純情☆デビル
その場にいた全員が、久都を見ていた。


豊平が無意識なのか、オレの衣装の腕部分を、ハシッと掴む。


「私は……ただ単に1人でいた時、傍にいてくれた雫に抱いた感情を“恋”と勘違いしてただけだったのかもね……」


メアリーを抱き直し、涙を拭いた久都は、フッと小さく笑う。


そのままオレ達に背を向け、どこかに歩き出した。


「え、牧之原さんどこに……」


正信がうっかり聞いてしまい、寺辺に叩かれた。


「黙ってなさいアンタ!!」


「すみません…」


お前等……こんな時にまで、夫婦漫才してんじゃねぇよ………
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