大切なものは失ってから気付く
体育祭に親が来ない私。

来ないのに、保護者席を必死に見回していた。

私の1500m走の時、もう一度席を見回すと、私のゴール地点の近くには

私の愛しい人。

ただ会いたくて、すぐに会いたくて…

走ったんだ。

走り終わって、ユウさんの元へ行こうとすると、紙を渡された。

「い、一番…?」

驚いて、ユウさんの方へ行くと、

「アリス、一等おめでとう。」

と小さな声でいった。

ユウさんは気付いてないみたい。

実はね、あの個人走はユウさんに会いたくて走ったから速かったの。

気付かないうちにゴールしてた。

ゴールした瞬間、君の笑顔が私の目に飛び込んできて、私もつられて笑顔になる。

「ありがとう、ユウさん。」

私は呟く。

君には聞こえないように、そっと。
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