新撰組のヒミツ 壱
見上げた山崎の目は、昔から見続けていた優しさと慈愛に満ちあふれていた。


彼と目が合った瞬間、胸の奥がくすぐったくなるような嬉しさと懐かしさを感じたのだった。


気恥ずかしくなった光は、小さく無愛想な声で「……ありがとう」と呟く。


「構わへんよ。お前は俺の妹みたいなもんやし」


「なら烝は――私の兄上だな」


光の返してきた言葉に、山崎はしばらく無言だったが小さく笑い、光の頭を再び撫で始める。


「――……間違った、弟やった」
山崎は光の頭を軽く小突いた。


「あ……!」


弟、と言われて光は重要なことを思い出した。山崎に会ったら必ず言おうと思っていたことだ。


「三番隊と巡察の時、……」


「なんや」
山崎が怪訝な口調で聞く。


「……女だって事……斎藤さん……いや、一さんに知れた」


そう言った光は、巡察のときのことを思い返し、血が滲むのではないか……、という位、強く唇を噛み締めた。思い返すと、今でも背中に冷や汗が伝う。


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