魔界動乱期
「‘あやつ’とは誰の事ですか?まさか、ラウドのやつ、二心を抱いていたのか!?許せん!!」

「お、おい、大袈裟に言うでない。全くお前は堅物なんじゃから。やーい、堅物」

サンニールの怒りに火に油を注ぐようにギルシャスがからかう。

「孫の幸せを何とお考えか!今日という今日は……」

「あ、いかん。これ、結構本気のヤツじゃな……。サンニールよ、儂は用事を思い出した!ちゃんと王の間を守っておけよ!大事なもの沢山あるんじゃから、ここを留守にしたら懲罰じゃからな!」

「くっ、逃げ足だけは早い!」

懲罰など与えられない事はわかっていながらも、しっかりと王の言いつけを守るサンニールであった。
そこへ扉を開け、ひょっこりとギルシャスが顔だけを出す。

「堅物」

ギルシャスは、相手を怒らせるには最も適しているであろう表情を作り、ヒューっと走り去った。

「ぬぐぐ……!!」

このとき城から半径数百メートルの場所で、サンニールの怒気による地震が起きたという……。


ラウドは帰路につきながら、さきほどのギルシャスからの‘勅命’に近い言葉への答えを考えていた。

「ついにエレナにプロポーズか。……しかし、なぜ妖狐の顔がチラつく?た、確かに妖狐は何か放っておけないというか、常に頭の片隅にいる存在だが……。でもあいつが私に対して好意を抱いているわけはないしな。しかし、さっきの妖狐のあの行動は……」

ラウドの頭の中はこんな答えの出ない考えがグルグルと回っていた。
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