ブラッディマリー



 濡れた万里亜の瞳が、欲望の色に染まる。



 だけどそれはもう、血の代わりのものを欲する衝動だけではないことが判った。





「和……も、いいよ……和のしたいように、して……」





 ……二度と、死にたいだなんて言わせるものかと。



 この女を所有するのも守るのも、与えるのも喜ばせるのも、もう俺だけだ──。



 痛みを与えるのなら、どうか甘やかで幸せなものであるように。


 覚束ない思考をもう意識の外に追いやると、和は潤み切った万里亜の中に深く深く溶けていった。




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