ブラッディマリー
 

 俊輔は薄光りする瞳を棚に向ける。すると、棚に並んだグラスが3つ宙に浮かび、それぞれの目の前にすとんと置かれた。



「……!」


「お前らの前では隠さなくて済むようになって、助かるよ」



 俊輔は肩で笑い、同じように焼酎と氷を手を使わずに運んだ。


 にわかに緊張した和と万里亜に向き直ると、俊輔は酒を注ぎながら構わず続ける。





「どこまで言ったっけ。ああ、そうだ……彼女、白城百合亜には、繰り返した近親婚がたたったのか、生殖能力が備わってなかった。性質もヴァンパイアの直系らしく、とても綺麗でいい女だったよ。だから俺としては、子どもなんて出来なくても、彼女と一緒になることに抵抗はなかった。けど、百合亜がそれを望まなかった」





「どうして……?」



 万里亜のか細い問いに、俊輔の瞳がふと陰った。

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