ブラッディマリー
「……彼女は人間の男に惚れてた。けれど勿論、白城の家がそれを許す筈もなく……逃げた末、行き場をなくし、心中した。それなりに悲しかったよ。唯一の同胞だったからね」
俊輔はグラスに溶かした焼酎をあおると、小さく笑う。
「それから黒澤と白城は、百合亜の死っていう結果でせっかくの良縁が破談になったせいか、何となく疎遠になった」
そして、俊輔は和を見る。
「それから俺も、家に縛られるのが馬鹿馬鹿しくなってさ。なかなか死なない当主がいつまでも居座ってるのも、気持ち悪いだろうと思ってな。自殺に見せかけて家を出たんだよ」
「だけど俊さん、俺の産まれた日を覚えてるって……」
「……ああ。昔、敬吾とは偶然会ったんだ。それでだよ」
その言い方に、和は何となく引っ掛かりを感じた。
けれど胸の中のもやもやが、それについて考えることを邪魔する。
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