ブラッディマリー
「随分大人になられました……私も、歳を取る筈です」
「それは思った。増えたな」
和が髪を指し示すと、西成は顔を崩して笑った。ようやく打ち解けて来た空気に安心し、和はごろりと横になる。
「西成……俺、確かめたいことがあって帰って来たんだ」
「ええ。私、それが何なのか、察しているつもりです」
「さすが」
万里亜はサイドテーブルの灰皿を、和の手元に差し出す。和はそこへ軽く灰を落とした。自分の膝元に灰皿を持つ万里亜を見てから、西成は口を開く。
「……和様、どこかお変わりになられました」
子どもの頃から世話になって来た西成の呟き。重く深いその言葉に、和は眉尻を下げた。
「……そう見えるなら、こいつと会ったからだよ」
和が万里亜を指し示してそう言うと、西成はどこか嬉しそうな笑みを浮かべる。
「それはようございました」
西成のその顔を見てから少し考えると、和はむくりと身体を起こし、きゅっと口唇を引き締めた。
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