ブラッディマリー
「……西成。俺が戻ってること、尚美さんには言わないでくれるか」
「判りました。……尚美様はずっと伏せっておいでですので、他の者にそう伝えておきます」
「……どこか悪いのか?」
「気持ちの問題だとお医者様はおっしゃるのですが……産後まもなくから伏せっておいでです。和様は、屋敷内でご自由になさっていて下さい」
では……と西成は和の部屋を後にした。しばらくぼうっとした後、万里亜は和を振り返る。
「和、尚美……さんって、お義母さん……?」
「……ああ」
和は眉根を寄せて、ちっと舌打ちをする。
「気分悪いな。万里亜、中庭にでも行こう」
「え? あ、うん」
フィルターまで燃え尽きた煙草を万里亜の持つ灰皿に放り込み、和は立ち上がった。どこか苛々した和の背中に、万里亜は一抹の不安を感じ、きゅっと胸が締め付けられる。
そんな和の手を万里亜は後ろから握ると、彼は縋るように握り返した。
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