ブラッディマリー
 


 連れて来た女を、カウンターにうつぶせにさせる。煙草をくわえたまま女の臀部を掴んで、その奥へと腰を進めた。すすり泣きのような女の嬌声は、少なからず和を興奮させる。


 満足というには程遠い、生理現象の処理。それが終わると、和は何事もなかったかのように、女から離れた。


 何度もいった女はもうお腹一杯という様子で、少し羨ましくなる。



 仕事を終えるまで待つという女を追い返すと、和はさっきまで女がしがみついていたカウンターを念入りに拭き出した。


 その雑巾を熱い湯で丹念に洗うと、改めてカウンターをすみからすみまで拭く。次に洗い場に溜まったグラスを、ひとつひとつ洗い始めた。


 グラスを洗い終え、トイレ掃除を済ませると、カウンターの隅に米焼酎と、小皿に並べた輪切りのレモンを置く。


 ようやくそこに腰を下ろした和は、グラスの中に氷を放り込むと、焼酎を注ぎガラガラと混ぜた。薄く溶けたグラスの中に、レモンを浮かべる。



 あまり酒を知らない人間のようなこの飲み方が、和は好きだった。


 女をひっかける前にコンビニで買った柿の種をつまみ始めた頃、閉ざされたままだったドアが開く。

.
< 2 / 381 >

この作品をシェア

pagetop