ブラッディマリー
 


「ヴァンパイアが産まれると、信じて疑わなかったからだ。君子は産まれる子は自分の子ではないと思うことで、儂の無茶苦茶な要求に応えてくれていた」


「だけど母さんは病んでいった」


「……今になって言っても仕方ないが、お前が人間にしか見えなかったからだ。実は儂の子なのではないかと、それなのに自分は皓と関係してしまったのではと、君子の覚悟が日に日に揺らいでいくのが判った」



 敬吾の頬に、胸の痛みの痕が影として映っている気がした。


 だが和は、それに共感することは出来なかった。



 それは万里亜を愛おしく想う今だから、判ること。夫婦なら、愛して望んで傍に置いていたのなら、何故その痛みを分かち合ってやれなかったのか、と。



 和のその思考すら読めているのか、敬吾は苦い笑みを浮かべた。



「……そうだな。お前が何を言いたいか、判るよ」


「なら、なんで母さんを死なせた?」



 ぴくり、と敬吾の頬が強張る。

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