ブラッディマリー
ぬるぬると熱い血が、自分の身体に染みていく。
まるでそれがカウントダウンのようで、和は恐ろしくなって万里亜を見据えた。
「万里亜、俺から血を取れ。早く」
万里亜の瞳が、生きているものの気配に爛々と輝いた。
けれども万里亜は弱々しくかぶりを振るだけで、和の首筋に食らいつこうとはしない。
「駄目だよ……兄さんは間違いなくあたしの心臓に傷を付けた。和だって、判るでしょ……」
直接貫いて、すぐに死なせてくれなかったのが兄さんらしいけど、と続けて万里亜は笑った。
「……お前、澄人を憎く思ってないのか……」
万里亜は和の瞳を見ると、困ったように微笑む。
「あの人には、あたししかいなかったの。あたしも、兄さんしかいなかった。……今のあたしには和がいるけど、でも……だからって兄さんを捨てられない……」
自分にはどうにもならなかったことを、和はその言葉で思い知った。
和が奥歯を噛み締めると、近付く足音が響く。澄人だった。澄人は血だらけの万里亜の胸に、無造作に何かを軽く投げる。
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