ブラッディマリー
万里亜はそれを見て、信じられないという目をした。
──少し汚れたそれは、テディベアのカミーリア。
「澄人兄さん、なんで……」
「……お前が百合亜の部屋の前に落として行ったんだろう。百合亜がそのクマを持って行って泣いて喚くお前を宥めたが、近寄るなと何度も投げ付けられたそうだ。万里亜のお守りだから捨てるに捨てられないと、俺が預かっていた」
「覚えて、ない……」
「そうだろうな。兄さんと何をしていたんだと幼いお前に責められて、百合亜はしばらく部屋に身を隠していた。それ程凄まじい癇癪だったからな。すっかり泣き疲れたお前は何も覚えていなかった。クマをまた与えて思い出されても面倒だと、そのままにしていた。百合亜もお前も、哀れなものだな」
「あたし……お母さんのこと、責めたんだ……」
「万里亜……」
澄人は少し距離を取ったまま、万里亜を覗き込むようにしゃがんだ。
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