ブラッディマリー
 

 澄人とのやりとりを黙って見ていた万里亜も、もう長くはなかった。


 和はもう一度万里亜を抱き起こすと、ずいぶん色素の薄くなった彼女の髪を見て眉をひそめる。



 たぶん、今俊輔が駆け付けたところで、万里亜は助からない。



 それはただの勘でしかなかったが、すっかり覚醒しきった和には判っていた。


 自分の白い髪も、中途半端な覚醒へのサインだったのかも知れない。


 万里亜は虚ろな瞳を和に向けると、大きく深呼吸をした。





「──万里亜」





 万里亜はもう言葉を発することも出来なさそうで、和をじっと見つめると、何かを言いたげな様子でゆっくりとかぶりを振った。それはさっきの澄人の心ない一言のことだろうか。けれど、全てに取り返しがつかない今となっては、どちらでもいいことだった。



 最後まで万里亜は揺れて、迷った。


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