ブラッディマリー
「おい、万里亜?」
和が声をかけると、それを追いかけるように俊輔はカウンターの中で顔を上げた。
グラスに持って来たリキュールを少し注ぎながら、俊輔は黙って和を見る。
そんな俊輔と目が合って、和が首を傾げると、「見て来い」と顎で示された。
和は立ち上がり、トイレに近付く。
中に万里亜がいる筈なのに、聞こえるのはからからと古い換気扇の音だけ。
万里亜の気配さえしない。
本能的にぞくり、と寒いものが走った。
「……万里亜? 開けるぞ……」
カウンターの中の俊輔の視線が気になり、和は寒い気配を振り払って、ノブに手をかけた。
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