アイ
ひとしきり僕をいじった後、少女はそっと僕をつまみ上げ、手のひらに乗せて顔の前に持ってきた。

じぃっと見つめられ、僕も負けじと見つめ返す。

よく見ると、可愛い子だ。

こんな子が、なんでこんな目玉を持って帰ってきたのだろう。

しばらく見つめ続けたかと思うと、少女は恐る恐る、と言った様子で、僕を口元へ近付ける。

どうするつもりだ。

少女の顔が更に近付いたかと思うと、舌を出し、僕のことをぺろり、と舐めた。

右目を通して舐められた感覚が伝わり、思わず背筋にぞぞ、と鳥肌が立つ。

舐めたことで少女は満足したのか、僕を大事そうに瓶の中に入れ、机の引き出しへとしまいこむ。

僕の右目は、再び暗闇の中へと放り込まれてしまった。



どうやら僕の目を拾った少女は、僕のことを大事にしてくれそうだった。

よくも、悪くも。


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