アイ
どうやら僕の右目は、僕の体を離れてなお、僕と繋がっているようだった。

僕が瞼を閉じると、右目も見えなくなる。

開くと、見える。

どういう仕組になっているのかは分からない。

左目と右目を同時に開くと、視界は二分割された。

別々のテレビを同時に眺めているような感覚だ。

脳が混乱するのではと思ったが、次第に慣れ、同時に物を見ていても違和感を覚えないようになった。

人間の適応力には驚かされるばかりだ。


目玉からその内手足が生え、甲高い声で喋り出すかと思ったが、目玉はただただまん丸いままだった。

ほっとしたような、残念なような。

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