触れることもできない君に、接吻を
その行動を見た由梨が、盛大な溜め息をついた。

「まったく……。君さあ、中学生だよね。見たところ中二かな? それなのにいいの? 来年受験だよ?」
「別に関係ないだろ」
「またそうやって言い逃れる。だから駄目なんだって」
「何も知らないくせに駄目ってなんだ、駄目って。ていうかお前も中二だろ。お前こそこんなとこでなにしてんだよ」

俺は咄嗟に思いついたことを言っただけだったが、急に彼女の言葉が途切れたのが気になって彼女のほうを向いた。
すると彼女は今にも泣きそうな顔で地面を睨んでいた。
しまった、と今更俺は口を覆った。
だけど時既に遅し。公園は沈黙に包まれた。
俺は頭を掻き毟りながら、どうしようと頭を回転させていた。

だけど言ってしまったものは取り消せない。
謝るのが一番だと、彼女の顔を覗き込んだ。

「ご、ごめん。俺、無神経で」

だが彼女の表情は変わらない。
俺は困り果て、近くにあったベンチに溜め息をつきながら座り込んだ。
由梨はまだ俯いたままだ。
これだから女は、扱いづらい。
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