触れることもできない君に、接吻を

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俺は頭を掻きながら、二度目の謝りの言葉を発しようと、ベンチから立ち上がった。
そして先ほどと同じように由梨の顔を覗き込んだ。
だがさっきとは表情が明らかに違った。

「何……おま、そんな俺の言葉気に障ったか? そんな、泣かれても、俺……」

由梨の目からは涙が零れんばかりに溢れていた。
ぽちゃり、と地面に雫が落ちる。
微かだが確かに嗚咽が聞こえた。

俺は困惑しながらも声をかけようと思ったのだが、適切な言葉が思い浮かばない。
俺が腕を組みながら考えていると、急に由梨がその場に泣き崩れてしまった。
さっきは我慢していたのだろうが、今度は大きな声をあげて。
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