触れることもできない君に、接吻を

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本当は気が進まなかったけれど、ちゃんと伝えなくてはいけないと思った。
だから俺は、震える情けない足で、ここまで来たんだ。

「本当に来てくれたんだ。でも学校は?」
「うん、別に大丈夫。この後すぐに行くし」

いつもより少しに出てきたので、遅刻の心配はない。
それにまた裕大たちが来たら嫌だし。

「あれ、なんかあった? いつもと表情違うような気がするけど」

そんな由梨の質問に、俺はついつい言葉を詰まらせてしまう。
やはり昨日の事実を伝えるべきか、迷ってしまう。
伝えるためにここに来たというのに、本人を目の前にすると辛いものだ。

「なんか言いにくいことなの? 別にいいよ。平気。言っちゃって」

だけど由梨は俺に気遣ってか、いつもより大雑把にそう言った。

そんな彼女の態度に、俺は傷付くばかりだった。
ああやって強がっていても、本人は絶対に怖がっているのだろう。
それを思うと、今からあんな恐ろしいことを言う自分が悪魔のように思えてきた。

気付けば俺は俯いていた。
見えるのは地面に敷かれた砂利のみ。

「ねえ、お願い。言って」

追い討ちをかけるかのように、彼女の声が降ってきた。
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